コーンウォール地方 Lizard Point
この記事のタイトルの通り、オーダーメイド旅行は旅行をする人=旅行者と旅行会社がともに作り上げていく旅行です。「代理店」という言葉が表すように、本来旅行会社は自ら旅行サービスを提供するものではなく、旅行者に代わって単に各サービス提供機関(航空会社やホテルなど)を代理手配するだけにすぎません。けれども、旅行者と協力することによって旅行手配が単なる代理手配にとどまらず、素晴らしく思い出に残る旅行を演出することができます。この記事では、手がかかった分だけ満足感を得ることが出来るオーダーメイド旅行のポイントをご案内します。
先日、当社手配にて旅行をされたお客様が無事帰国され、詳細にわたるお礼状兼旅行記を頂きました。長年オーダーメイドの旅行をご案内していますが、これほど長文の旅行記を頂いたことがなく、またいかに旅行手配とお客様の希望が合致したかがわかるお手紙でしたので、ブログにて紹介したい旨を相談し、快諾して頂きました。
ここにその旅行記をあえて掲載する理由は、今回のケースがお客様と旅行会社がともに旅行を作り上げていく良い例だと思ったからです。そして日頃パッケージツアーで旅行し、オーダーメイド旅行は面倒だと思っている方、反対にこれから綿密な計画を立ててオーダーメイドで旅行しようと思っている方に、この記事と旅行記を参考にしてもらえればと思います。
実際の旅行記は以下に掲載しますので、あわせてご覧ください。このページでは、オーダーメイド旅行のポイントを、問い合わせからご出発までの実例と照らし合わせて書いてみます。
希望を聞かなければ旅行は作れない
最初は電話にて、「受注型企画旅行と手配旅行」の違いについてのお問い合わを頂いたことから始まりました。開業以来かつて電話でこのようなことを聞かれた記憶がなかったので、とても新鮮だったことを記憶しています。
その後メールにて具体的なお問合せと見積もりの依頼を受け、ご出発まで約8か月、実に80回ほどメールのやり取りがありました。しかし自分の希望を叶えるべく綿密に旅行を計画するのであれば、このメールの回数と期間はけっして多いものではなく、又長いものではありません。当社ウェブサイトおよび当ブログにて、オーダーメイドの旅行計画開始時期は半年以上前が理想的とご案内している通りです。
ごく稀に、プランニングは全て旅行会社に任せきりで、いざ提案したら予算オーバーということで申し込みまで至らないケースがありますが、ここに紹介するお客様は、最初から実にはっきりと詳細に自分たちの希望を書いてくれました。そして、それにひとつひとつ応えていくことで、お客様の理想とする旅行に近づけることができました。
希望内容によっては日程に無理が生じたり、旅行会社が手伝うことが出来ないことがあるため、それらを実現可能なプランに修正していくことが必要になります。
今回引き受けた旅行については、公共の交通機関だけでは全ての旅程をカバー出来ないため、一部専用車による周遊観光を案内しました。加えてその地方には日本語ガイドがいないため、専用車を利用する際日本語による案内を提供することが出来ません。お客様は英語で専用車のドライバーとコミュニケーションをとることに自信がないと思ったのか、観光地でのドライバーとの待ち合わせ場所や時間を出発前に全て詳細に決めておきたいというご希望でした。
発着時間や場所がはっきりと決まっている公共の交通機関とは違い、専用車での観光は道路状況や天候によって時間を調整しながら日程を進めます。専用車による観光では、出発前に時間やミーティングポイントまで事細かに決めておくことが難しいということを理解して頂くことも、お客様の希望を実現可能な日程に修正していくことのひとつです。旅行後の感想ではお客様の取り越し苦労だったのか、旅行記にはドライバーとの実に楽しそうなコミュニケーションの様子が書かれています。
旅行会社へ依頼する際、遠慮は無用です。出来る限り細かく自分の希望を伝えることが、理想の旅行への近道です。
実現可能な日程へ
では実際に、上述のお客様から伺った希望を、当社がどのように修正し変更して旅行を催行させるに至ったかをご案内します。旅行内容はイギリス国内の、まだ日本ではあまり紹介していない南西部のコーンウォール地方と人気のコッツウォルズ地方、そしてロンドン周遊の旅行です。
希望を叶えるパッケージツアーが見つからず、オーダーメイドでの依頼となったものと想像します。
【最初の希望(見積もり、手配依頼内容)】
- 日本発着の往復航空券(出来れば日系の航空会社)
- ロンドンのホテル(指定、2泊)
- 寝台列車ナイト・リヴィエラ・スリーパー(ロンドン~セント・エス)
- セント・エス下車の後コーンウォール一帯を専用車で周遊しながらセントアイブスへの移動
- セントアイヴスのB&B(指定、1泊)
- デボンのB&B(B&B指定、1泊)
- デボン~エクセター~バースの移動(鉄道)
- バース~バーンズリーの観光および移動
- バーンズリーのB&B(指定、1泊)
- バーンズリーのB&Bからヒースロー空港までの送迎
- ティールームなどの予約(可能であれば)
最初の問い合わせにあった「受注型企画旅行と手配旅行」の違いは、一言でいえば、受注型企画旅行は個別の料金を明示しない包括料金の見積もり、手配旅行は個別の料金を明示する見積もりです。この依頼に関してはどちらが良いということはなく、手配旅行であることに変わりはありません。それならば個別の料金が明確な手配旅行のほうがお客様、旅行会社双方理解しやすいことから手配旅行で承りました。
見積もる前に希望に沿って詳細を調べてみると、指定されたホテルはお考えの予算よりだいぶ高いため、同グレードで出来るだけリーズナブルなホテルを代案としてご案内し、またネット上の様々な情報から選ばれたというデボンのB&Bも、ロケーション上の理由からスムーズな日程が難しいと判断し代案を提示しました。
コッツウォルズ周辺の専用車は容易に手配が可能ですが、コーンウォール地方は当社提携のどの現地手配会社も取り扱いがないため、地元観光局からの情報を元にプライベートツアーを専門に取り扱う現地会社にコンタクトを取り、見積もりを依頼しました。
最初に伺った希望は出来る限り日程に入れ、無理が生じる場合は代案を提示して日程にしていく作業は、旅行会社の独断だけでは進みません。必ず代案提示の理由を伝え、その代案に旅行者が納得することが重要です。この依頼の場合、プランを構成する重要要素は宿泊したいホテル、コーンウォール地方およびコッツウォルズでの自由なプライベート観光、ロンドンからコーンウォールまでの寝台列車などでしたが、宿泊施設の一部代案提示を除きほぼ希望をプランに入れることが出来ました。
見積もり依頼からプラン提案までおよそ半月、その後修正を重ねたのち申し込みに至ったのは約1ヵ月後でした。申し込み時に手配が出来るのは航空券や宿泊、専用車手配にとどまり、寝台列車をはじめとした鉄道手配は利用日の3ヶ月前からだったため、しばらくメールのやり取りが途絶えた時期がありましたが、あることをきっかけに再開します。
それは北朝鮮問題や欧州でのテロの脅威といった旅行先への不安に対する問い合わせです。それに丁寧に対応することも、安心して旅行してもらうためには不可欠なことです。そして手配旅行は旅行会社の補償は含まれないため、任意の海外旅行保険に加入することの必要性を加えて説明しました。
実際に催行された日程
最初の見積もり依頼から8ヶ月かけてお客様とともに作り上げた日程は、問題なく催行されました。その日程は以下のとおりです。上述の最初の希望と照らし合わせてご覧ください。
1日目 |
大韓航空でソウル経由ロンドンへ 到着後ご自身でホテルへ移動 ロンドン泊
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2日目 |
ホテルをチェックアウト後、寝台列車の出発時刻まで自由行動 夜パディントン駅へ ナイト・リヴィエラ・スリーパーでコーンウォール地方、セント・エスへ向けて出発 ※個室ダブルにて手配 車中泊
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3日目 |
朝セント・エス駅に到着、駅でドライバーが出迎え終日コーンウォール地方のプライベートツアー
後、宿泊地セント・アイヴスのB&Bへ セント・アイヴス泊
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4日目 |
B&Bをチェックアウト後前日と同じドライバーが出迎え、エクセター駅まで送迎 鉄道でバーススパ駅へ 駅にてドライバーが出迎え、バースおよびコッツウォルズ地方のプライベートツアー
後、バーンズリーのB&Bへ バーンズリー泊
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5日目 |
出発まで自由行動 午後、前日と同じドライバーが出迎え、ロンドンまで送迎 ロンドン泊
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6日目 |
ロンドンにて終日自由行動
ロンドン泊
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7日目 |
ホテルをチェックアウト、ソウル経由で帰国
機内泊
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8日目 日本到着 |
自由行動箇所はお客様自身で計画・行動し、その様子は旅行記に書かれています。
まとめ
このケースはあくまでお客様の希望に基づいたイギリス旅行のプランで、例え旅行先を同じイギリスにしても全ての人に共通するプランではありません。オーダーメイドの旅行は二つと同じプランはなく、全てがオンリーワンのプランです。そのプランが思い通りの行きたい旅であったかどうか、また思い出に残る旅行であったかどうかは旅行を依頼する人にかかっています。
昔から「医者、弁護士、旅行会社はお抱えで」といわれてきました。旅行会社にいかに自分の希望を的確に伝え、意思疎通をはかるかどうかで理想の旅が決まってきます。それには「なじみ」といえる旅行会社を見つけておくことも、思い通りの旅行をするための一要素です。
パッケージツアーはお手軽で便利ですが、少し苦労してこのような体験が出来る旅行を一から作ってみてはいかがでしょうか?
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