中小企業のサーバー移転の具体的手順は?移転にかかる費用は?自分でできる?

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ウェブサーバーイメージ

Image by Colossus Cloud from Pixabay

前回、当社が契約していた「ニフクラレンタルサーバー」から、突然サービスを終了するとの連絡があり、急きょサーバー移転を検討することになった経緯や、移転先候補の調査について書きました。

しかし、まだ分からないことはたくさんあります。

「移転代行サービスに依頼したら、どれくらいかかるのか?」

「自社で行うとしたら、全て自分でできるものなのか?その具体的手順は?」

これらを調べた上で、移転先レンタルサーバーの選択、移転代行サービスに依頼するかどうかを決めたいと思います。

レンタルサーバーを利用している限り、今後もサーバー移転を強いられるかもしれません。これは、そのための備忘録として記載しておくつもりです。

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移転時にかかる費用

最初に、レンタルサーバーのランニングコストではなく、移転時にかかる費用を調べてみました。

これらは、レンタルサーバー会社により、以下の点で費用が異なります。

  • 新規申込時の初期費用
  • 移転代行サービス費用
  • ドメイン移管費用・管理費

新規申込時の初期費用は、前回調べた各レンタルサーバー会社によって、かかるところとそうでないところがあります。だた、初期費用がかかったとしても、大した金額ではありません。この件だけで、レンタルサーバー選択の判断材料にはならなそうです。

また、レンタルサーバー契約料金の中に、サーバー移転代行サービスが含まれるところと、そうでないところがあります。

例えば、Xserverはレンタルサーバー料金に移転代行費用が含まれるため、追加費用はかかりません。一方、さくらのレンタルサーバーは移転代行サービスはなく、あくまで自分で行うことを前提としたサービス内容です。

カゴヤのレンタルサーバーは、「サーバー乗り換え安心おまかせパック」があり、サーバー契約のオプション料金として11,000円で受け付けています。

ロリポップの「設定おまかせサポート」のうちのひとつ「ウェブサイトの移転作業」は、16,500円です。しかし、どこまで設定してもらえるのかは相談次第、最大「初心者まとめて設定」の33,000円が相場かもしれません。

いずれの会社に決めるにせよ、申込時に見積もりをしっかり取る必要があります。

移行支援(代行)会社の費用相場

次に、移転代行を行っている会社の費用について調べてみました。ニフクラが紹介する各会社の移転支援費用は、以下の通りです。

株式会社ほむぺじ
20,000円〜(詳細は見積もり後)
この会社は、現状に沿って最適なレンタルサーバー会社の選択までしてくれます。

ジェイライン株式会社
ウェブサイトを見ても、移転サポートのことは書いておらず、メールでのみの受付のため費用は分かりません。

株式会社クララオンライン
ジェイライン同様、メール受付にて見積もり後の対応となります。

レンタルサーバーCPI
レンタルサーバーの候補として検討しようと思いましたが、費用が最も高く、主に中堅企業以上の会社向けなのだと感じました。この会社もサーバー移転代行サービスを行っていますが、サーバー契約が基本で、無料となるのはFTPアカウントの登録とウェブコンテンツの移行だけです。どうも、細やかな対応は別途、というところでしょうか?

サーバー移転代行サービスが費用に含まれるレンタルサーバー会社を選定すれば、申込後は全てレンタルサーバー会社任せで移転が完了します。

今のところ、ランニングコストを含めた費用面を除けば、全て込み込みのXserverに軍配があがるようです。

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自分でできる?サーバー移転の手順

次に、上述の移転代行サービス会社に依頼することなく、自分でサーバー移転ができるかどうか、あちこちのウェブ記事を参考に考察してみました。

前提として、筆者は個人ブログやこのブログを、レンタルサーバー不要のGoogle BloggerからWordPressへ移転した経験があります。

WordPressを利用している人ならご存知かと思いますが、WordPressはCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)のひとつで、いわゆるウェブ制作アプリです。そのため、サーバーは別に用意しなければならず、これらのブログをロリポップのレンタルサーバーを契約し、データを移行しました。

Google Bloggerでの独自ドメイン設定・管理機能はないため、ドメイン管理はGoogle Domainsを利用しています。ロリポップ側での独自ドメイン設定、DNS設定、独自SSL証明書設定も経験済みです。

そのため、サーバー移転についてはなんとなく理解はしているつもりです。しかし、たかがブログの移転作業と、会社公式サイトの移転は違います。念には念を入れて、調べました。

サーバー移転を紹介する記事により、以下順番は多少前後して説明しているので、契約元(ニフクラ)、新契約先の状況により判断して行こうと思います。

各手順で、自分でできるかどうか(GOOD or BAD)もチェックしています。

データバックアップ

  1. ウェブサイト
    FTPにて現在のファイルをすべてダウンロード
  2. メール
    POP3メールのため、メールデータをすべてメールソフトにダウンロードしておく。
これは何ら問題ありません。普段、FTPソフトにてやっていることです。

他社サービスへの申し込み

どの会社を選定するにしても、事前に見積もりを依頼し、担当者とやりとりをした上での申し込みとなるため、これも問題ないでしょう。

どの会社も、新規申し込みはウェブ上で行うので、入力ミスに気をつけるだけです。

ドメイン移管申請

ここからがサーバー移転のキモとなるところでしょう。慎重に行わなければなりません。

参考として、Xserverさくらのレンタルサーバーのドメイン移管申請手順を参考にしています。また、現在契約中のニフクラでの移管手続きの流れも参考にしています。

ドメインを移管できるのは、有効期間が30日以上あることが条件となります。現在契約中のニフクラで管理されているドメインの有効期限を確認して、現時点で問題ありません。

最初に、旧サーバー(ニフクラ)側で、ドメイン移管の認証コード(AuthCode)を取得します。コードの期限は35日間ですので、その間に移管を完了させます。

その後は、移転先のコントロールパネル内で、指示に従いながら、ドメイン移管申請を行います。

ここでドメイン移管の費用が発生し、さくらのレンタルサーバーは2,614円、Xserverは1,298円(どちらも「.com」ドメインの料金)となっています。

旧サーバー側、新サーバー側とも双方のコントロールパネル内で行うことですので、少なくとも上記2社のいずれかを選定した場合、自分で何とかなりそうです。

データ移行

移行先サーバーを契約したら、バックアップとしてダウンロードしておいたウェブデータを、新サーバーにアップロードします。FTPの設定は、各社異なりますが、申し込み後に設定される初期ドメイン(仮)やドメイン移管後のドメインにてFTPを設定します。

その後は、いつも行っている通り、ファイルをアップロードするだけです。

前回も触れましたが、当社ウェブサイトはPHPやデータベースを使用しない静的サイトですので、アップロードは簡単でしょう。

無料独自SSL申請

旧サーバーでは、Let’s Encryptの無料SSL証明書を発行していたので、新サーバー側でも同様に利用したいと思います。SSL証明書は移行できないので、移行先にて申請することになります。

ここで、Xserverのマニュアル「他社サーバーですでに運用中のサイトに対して無料独自SSLを事前に設定する」を参照すると、以下のような注意書きがあります。

ネームサーバーの変更に関するご注意

無料独自SSLの設定およびサーバーデータの移行作業が完了するまでは、移行するドメイン名のネームサーバーを変更しないようにご注意ください。
SSL設定やサーバーデータの移行作業が完了する前にネームサーバーを変更すると、一時的にサイトが見られなくなる可能性があります。

これを読む限り、ネームサーバー変更は無料独自SSL申請後に行うのが良い、ということになります。

ここ、大事ですね〜。この順番を間違えると、一時的ではありますがウェブサイトが見れなくなってしまうんです。

Xserverの場合は、「他社サーバーでのWeb認証」を行う方法と、「他社ネームサーバーでのDNS設定」を行う方法の2通りがあり、旧サーバーのSSL証明書を削除する前に行います。

一方、さくらのレンタルサーバーは移行ではなく、旧サーバーでSSL証明書を削除し、新サーバー側で新たに申請するという方法になります。

カゴヤのレンタルサーバーも、ロリポップも、さくらのレンタルサーバーと同様の方法のようですので、ここらはサーバー選定の悩みどころかもしれません。
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ネームサーバー変更

ネームサーバー変更は、新サーバー側で行います。

ドメイン移管の完了後、移管したドメインに対して、新サーバー側が指定するネームサーバーを登録します。少なくとも、Xserver、さくらのレンタルサーバーでは、この手順を詳しく説明しています。

筆者が、サーバー移転で最も理解しにくい点が、ドメイン移管とネームサーバー変更です。しかし、どのレンタルサーバー会社も、トラブルが起きないよう詳しい説明を用意していますので、なんとか自分でできそうです。

メールアカウント設定

ウェブサイトが問題なく稼働したら、メールアカウントを設定します。手順は以下の通りです。

  1. 新契約先で、今までと同じメールアカウントを設定する。
  2. ローカル環境のメールソフトにてサーバー設定(pop, smtp)をする。
  3. メールソフト内でメールデータを新サーバーのアカウントへ移行する。

普段利用しているメールソフトで、問題なく送受信ができれば完了です。

なお、完全に移行が完了するまで、メールソフトにて新旧サーバーのメールアカウントで受信できるようにしておきましょう。動作に問題なければ、旧サーバーのメールアカウントは削除しても構いません。

当社のように、管理するメールアカウントが少ない会社では、さほどメール設定は問題ないと思います。

しかし、普通の会社では、社員ごとにメールアカウントがあり、それを全て設定するとなれば、相当な作業量となるでしょう。

旧サーバーの解約手続き

ウェブサイト、メールアカウントの移行が完了したら、旧サーバー(ニフクラ)にて以下の解約手続きをします。

  • ドメイン削除
  • SSL証明書削除
  • DNSサービス解除
  • ホスティングサービス解除

新旧サーバーの契約重複期間

2〜8までの作業中は、新旧サーバーとも契約状態としておき、完全に移行完了するまで重複させておくことが必要です。できる限り、スムーズな移行ができるよう、1ヶ月は重複すると考えておいた方が良いようです。

この間、双方に使用料を支払わなければなりませんが、これはサーバー移転の経費として考えるべきでしょう。

現時点での課題点

手順やほとんどの方法は、以前行ったブログの移転と難易度は変わりません。

唯一気になるのは、5番目の「無料独自SSL申請」です。仮に、Xserverで契約した場合、果たしてここに記載した方法がその通りにできるのかは未知数です。

まだサーバー選定も、実際に移転作業も行なっていないので、取り越し苦労になるかもしれません。ですが、少なくとも移転代行サービスだけを別会社に依頼する、という選択はないと考えます。

次は、社内で協議後、契約するサーバーを選定した時に報告します。

記事内の各料金は、執筆時点(2023年6月)の費用であり、各社の事情により今後変わる可能性があります。

コメント

  1. 超零細企業 より:

    とても参考になります。有益な記事をありがとうございました。

    • flight_ltd flight_ltd より:

      コメント有難うございます。
      自社の備忘録として記録しておいたのですが、参考になるのでしたら嬉しい限りです。

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