現在、あなた、またはあなたの会社は、会計業務を税理士さんに依頼していますか?
筆者は、開業以来税理士に頼ることなく、全ての会計業務を自分たちで行ってきました。起業時に資金がギリギリだったため「自分たちでできることは自分たちで」と思い、
「やれるところまで自分たちでやってみよう。だめなら、そこから税理士に頼めばいい。」
という軽い気持ちで、一から会計業務に挑戦して20数年、現在に至っています。
一般的に「会計」「経理」と呼ばれる業務は、他の業務と比べると、地味でやりがいがないと思われているかもしれません。しかし、
知れば知るほど、会計はおもしろい
こんなにおもしろい会計業務を、税理士さんに任せっきりではもったいない。
やってみることで得た知識は必ず自身の財産となり、業種に関係なく、どこの企業でもその実力を発揮することができます。
もちろん、現在の会計業務を全て自分で背負わなくても良いのです。会計の知識を得ることで、税理士さんとの打ち合わせもスムーズになるし、何より自身で会社の財務状況をより正確に理解することができます。
そして、これから独立起業する人にとっては、会計を理解していることが、経営の大きな武器となるでしょう。
簿記など習ったことがなく、会計の何たるかも知らなかった筆者が、20数年で実感した会計のおもしろさを、これから少しずつ紹介していこうと思います。
やった分だけ知識が身につく会計のおもしろさ
なぜ、会計はおもしろいのか?
20数年自分で会計をしてきた筆者の実感は、会計に関する知識は「終わりがない」ということ。おそらく、会計凡人の筆者が一生かかっても、全てを習得することは困難でしょう。
だから、おもしろいのです。
自分で得た知識を客観的に確認するには、簿記検定でも受ければ、多少は認識できて良いかもしれません。
ですが、簿記と会計、さらに財務は違います。
経理は、簿記を使ってお金の動き、つまり取引を記録することです。その簿記とは、取引内容を記録すること自体を指します。どちらも会計業務の一部です。
会計は、簿記によって記帳された主要簿をもとに作成した財務諸表(決算書)を使って、財務状況を外部に報告することです。
さらに、財務は会計によって報告された財務諸表をもとに、将来を見据えて企業全体の資金を管理することです。
ここまでくると、検定うんぬんでは自分の知識を計り知ることはできません。
ですが、この知識は必ず自分の評価に値します。そんな知識を、終わりなくどんどん身につけていくことは、やりがいもあるし、おもしろくないはずはありません。
また、会計知識がある人の転職は、ひくてあまたでしょう。どこの会社でも会計業務は必要で、それに明るく長けている人なら、業種に関係なく、企業はその人材を欲しがるに違いありません。
近年は、会計業務の2大法改正、インボイス制度と改正電子帳簿保存法により、会計ソフトやERPソフト(総合型パッケージソフト)を宣伝するTVCMが増えていると実感されることでしょう。これらを開発するには、ITの知識だけではなく、全く別の分野のはずの会計知識が必要になります。
このように、会計に明るい人は、業種に限らず、どの企業への転職も展望が明るいでしょう。
仕訳帳と総勘定元帳が書ければ決算書が書ける
この見出しは極論ですが、けっして間違っているとも言えません。
これも、筆者が「会計はおもしろい」と思ったポイントのひとつです。
なぜなら、日付順に仕訳帳をつけていれば、必ず決算書に行きつくからです。
試しに、会社勤めの方は、一度自分の会社の決算書を見てみることをお勧めします。きっと、なんの知識もなく決算書を見ても、何が何だかわからないかもしれません。
ですが、一会社員であろうと経営者であろうと、仕訳の知識があれば全ての帳簿を読むことができ、会社の経営状態を把握することができるのですから、おもしろくないはずがありません。
会計の基礎は、主要簿といわれる以下の2つの帳簿です。
- 仕訳帳:金銭や権利の増減を伴う全ての取引を日付順に記録する帳簿
- 総勘定元帳:全ての取引を勘定科目ごとに記録する帳簿で、一般的に「帳簿」という
仕訳帳をもとに総勘定元帳を記録し、総勘定元帳をもとに合計残高試算表を作成して確認し、そして決算書が作成されます。決算書ができれば、法人税申告書を書くことができ、そしてここまでの一連の作業が「会計」といわれるものです。
上述のとおり、「簿記」とは取引の内容を帳簿に記録することで、「会計」の一部です。そして、一連の帳簿は全て「複式簿記」で記録され、全ての帳簿は連動しています。
つまり、主要簿である仕訳帳と総勘定元帳が理解できれば、企業の成績表とも言える決算書を作成することができるということです。
そして、この連動した帳簿類を理解すれば、企業の経営状況が見えてきます。
税理士に頼ることなく完全無料の会計ソフトで自分で行う会計
以前は、仕訳も紙の伝票を使い、文字通り帳面になっている帳簿を手書きで書いていました。それが少し進むと、エクセルを使って計算するようになってきました。
しかし、今はさまざまな会計ソフトがリリースされています。中には、完全無料の会計ソフトさえあります。
筆者も、最初はエクセルのテンプレートを使って伝票をつけ、そこからデータを仕訳帳や総勘定元帳に移し、決算書を作成していました。
ですが、会計ソフトを使い始めたら、ずっと会計業務が楽になったことは事実です。
全ての帳簿は電子化され、各帳簿の連動がシステム内で自動的に行われるので、計算間違いということがなく、そもそもいちいち計算する必要がありません。エクセルで帳簿をつけていたときでさえ、データの書き移しのミスはあります。
また、上述のとおり、日々の仕訳がきちんとできていれば、主要簿は自動的、決算書もシステムに則って作成することができますし、紙の山もなくなります。
手書きの頃から比べると、格段と便利で楽になりました。
また、会計ソフトのウェブサイトには、会計の基本までわかってくる内容が書かれています。ウェブサイトを読むことは、極端ではありますが、税理士さんにお伺いすることがデスクのパソコン内で解決してしまうようなものです。
現在、有料ソフト並みの高性能でありながら、完全無料の会計ソフトは2つあります。
筆者は、最初「フリーウェイ経理Lite」を使用していました。会計知識に乏しかった筆者にとっても、非常にわかりやすく、使いやすいソフトでした。会計の基礎知識から会計用語まで、ウェブサイト上で丁寧に説明してくれているので、大変助かるのに無料とは、かなり太っ腹な会社だなぁと思うくらいです。
ですが、このソフトの最大の難点は、クラウド型でありながら「Windows限定」だということです。会社のシステムを途中でWindowsからMacに変更した当社としては、このソフトの使用を諦めざるを得ませんでした。
パソコンのOSがWindowsなら、「フリーウェイ経理Lite」と使うのが、もっとも良いと考えます。
そして、新たな無料の会計ソフトを模索していたときに出会ったのが、クラウド円簿の企業向け会計ソフト「円簿会計」です。
こちらもクラウド型の完全無料の会計ソフトなのですが、「フリーウェイ経理Lite」と違う点は、OSやデバイスを選ばないということです。
「円簿会計」の特徴は、
- 通常は数万円する会計ソフトの基本機能が全て無料
- 機能限定なし、期間限定なしの無料会計ソフト
- インターネットに接続できる環境さえあれば、いつでも、どこでも、操作可能
- 弥生会計から今までのデータを取り込み可能
- 個人情報の入力は不要、データは2重に保管
- (以上「円簿会計」サイトより)
というもの。
さらに、青色申告をしている個人事業主向けの「円簿青色申告」があり、こちらは改正電子帳簿保存法に完全対応しています。
残念ながら、企業向けの「円簿会計」は、改正電子帳簿保存法に完全対応、というわけにはいきませんが、この法律は改正を重ね、会計ソフトの使用要件が随分と緩和されました。
そのため、筆者の理解では、現時点で「円簿会計」が改正電子帳簿保存法の「その他の電子帳簿」に対応しているとして、今後も使い続けるつもりです。
以後、この記事では「円簿会計」の体験サイトを参考にしながら、説明をしていきたいと思います。
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