コロナ禍を経て、旅行のフェーズが変わってきたように思えます。
単なる観光旅行だけではなく、「アドベンチャーツーリズム」が注目されるようになってきました。
同様に、自然環境を考えるSDGsへの取り組みも、旅行を計画する一つの指針になっています。
当社では、オーダーメイドの海外旅行をご案内しています。そして、その旅行に彩りを加えるものとして、
- テニスをはじめとしたスポーツ観戦
- ゴルフプレー
- 乗馬
- ハイキング
- サイクリング
などの、現地パッケージや素材を提供しています。
スポーツ観戦はアドベンチャーツーリズムの要素に当てはまるかどうかわかりませんが、それ以外は当てはまりまるでしょう。
当社は、開業以来これらを旅のコンテンツとして、旅先での「Experience(体験)」を提供してきました。特にアドベンチャーツーリズムを意識したわけではなく、結果として、それがアドベンチャーツーリズムの一角をなすものであっただけのことです。
自然や異文化を「Experience(体験)」することが、「感動」だけではなく「持続可能でより良い世界を目指す」ことは、今後の旅のトレンドになるかもしれません。
アドベンチャーツーリズムとは
アドベンチャーツーリズムは、「自然」「アクティビティ」「異文化」の要素のうち、2つ以上で構成される旅行・観光のこと。
さらに、以下の通り「ソフト」「ハード」「専門」の3つの類型アクティビティがあります。
アドベンチャーツーリズムとしてのアクティビティは、何も今に始まったことではありません。
以前から、ラフティングやカヌーなど、旅先のアクティビティの一つとして組み込まれてきました。自国にはないような異国の大自然の中でのアクティビティは、特に海外旅行が盛んになった80年代以降、常に重要な要素であったと記憶しています。
ですが、今まではそれが旅行の主目的ではなく、オプショナルツアーの一つに過ぎませんでした。
なぜなら、これらのアクティビティは何らかの危険を伴うものであり、旅行参加者全てに参加を強いる性質のものではなかったからです。
「アドベンチャー」の意味が「冒険」であるように、これらのアクティビティが何か特別な、あるいは少々危険な感じを受ける方がいるかもしれませんが、年齢に関係なくできるハイキングもアドベンチャーツーリズムの一つと考えれば、特別なものでも何でもないかもしれません。
現在では、アドベンチャーツーリズムを「資源の枯渇、地球温暖化による気候変動、経済的競争力の低下等の社会経済的に直面している課題に対応した実現可能なオプションの一つ」と捉え、また「自然資源の持続可能な維持・管理が可能な経済活動のモデルとなること」がメリットとされています(トラベルボイス「アドベンチャーツーリズムの基礎と現状」より)。
単なる自然の中でのアクティビティではなく、より自然資源の持続可能な維持のコンテンツとして積極的に旅行に組み込んでいくことは、ポストコロナの旅行の一つのスタイルになると考えます。
旅行会社としては、旅行者がこれらを求めて旅に出かけるということを意識した提案をしていかなければなりません。
アドベンチャーツーリズムとSDGs
当社は旅行会社ですので、自ら旅行サービスを提供するものではなく、代理店業です。つまり、上述の旅のコンテンツとされる乗馬やハイキングなどは、すべて海外のサービス提供会社と提携してご案内しています。
それぞれの会社は、国連あるいは拠点となる国の基準に従って、SDGsへの取り組みを行っているものもあります。
例えば、当社が案内するハイキングツアーとサイクリングツアーは、ともにオーストリアに本社がある会社が催行しています。自然を相手とするハイキングやサイクリングは、アドベンチャーツーリズムであるとともに、自然資源の持続可能な維持は欠かせません。
彼らの「サステナビリティと気候変動への認識〜当社の企業文化への取り組み」では、決して大それたことをやっているのではなく、自分たちにできるSDGsへの取り組みを淡々と行っています。そして、当社がこの会社のツアーをご案内することで、当社も同時にSDGsに取り組んでいると考えます。
まだ、自社のウェブサイトでSDGsへの取り組みの声明を発していない提携会社もあります。しかし、彼らも自然が相手のツアーに取り組んでいることで、考え方は同じものと想像します。
では、当社自身はどうか?単に、提携会社が取り組んでいるだけで良いものか?と言われるかもしれません。
もちろん当社も、小さなことから取り組んでいますが、決してウェブサイトで声明を発するようなことまではできていないのが現状です。
ですが、この章の冒頭で触れた通り、旅行会社は代理店業なので、代理してご案内する各旅行素材がSDGsに真摯に向き合っているかどうか、それを見極めることと同時に、自身も取り組むことが必要と考えています。
このように、アドベンチャーツーリズムとSDGsは関係性の高いもの、あるいは切っても切れないものとして捉えることが必要と思います。
古くて新しい概念と期限が迫る目標
「アドベンチャー」という言葉には、何か挑戦すべきもの、自然を相手にチャレンジするもの、という意味合いがあります。そこには、オーバーツーリズムで苦慮しているイタリアのベニスや、日本の京都のように、いまだに単なる観光を目的とした旅行者が大挙するすることを避けて、ともすればアクセスが悪い自然の地を求める旅行へとシフトしていく鍵があるのかもしれません。
では、そこにおける旅行会社の役割とはなんでしょうか?
自然を破壊することなく旅行者と自然を結びつけること、それは移動手段の選択もあるでしょうし、少しのチャレンジを必要とする旅行素材を提供していくことも、その一つと考えます。
そのもの自体は歴史がありながら、新しい概念として捉えられているアドベンチャーツーリズム、かたや刻々と期限が迫ってきているSDGs、この二つをどう取り扱っていくのかは、実は始まったばかりのようにも思えます。
旅行者の目線も、単なる観光からアドベンチャーツーリズムやSDGsへと変わっていかなければなりません。それを導くのは、やはり旅行会社や観光業に携わる人たちであり、自身の考え方が変わらなければならないと思います。
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