モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
ホテルで頂きました
2014年に2週間かけてイタリア各地を周遊し、その際アブルッツォ州へも訪れたことは私的ブログ「ウラの裏」やウェブサイトの「中部イタリア アブルッツォ周遊」「イタリア美食の旅」へと掲載しました。このことをきっかけに小さいながら新しい人とのつながりも出来たことは、フライトにとって大きな収穫です。
ところがそれから約1年、普段の業務に追われアブルッツォについてその後何も調べていないことに気づき愕然としました。せっかく「日本人がまだまだ知らない、本当のイタリアを体験できる」とウェブサイト上にて豪語しておきながら、アブルッツォのほんのさわりしか紹介していなかったからです。
旅行会社としてこれではいけない、もっとアブルッツォの魅力を紹介せねば…。
自分自身イタリアで最もモヤモヤしていた州アブルッツォ、その時体験したことや感じたことを織り交ぜながら、これからイタリアへ旅行する人がアブルッツォを是非訪問地のひとつに加えたいと思えるよう、もう少し深く掘り下げて紹介したいと思います。
何分個人的主観も多々あると思いますが、それは一旅行会社の主観と思って読んでください。
まだ知られざるアブルッツォのワイン
まずは自分自身が体験したことと合わせ、旅の重要なアイテムのひとつであるグルメ、とりわけワインについて書いてみます。
フランス同様、素晴らしいワインの産地が全国に散らばっているイタリア。日本ではキャンティに代表されるトスカーナや、バローロ、バルバレスコがあるピエモンテなど、世界的に認められた銘柄が良く知られていますが、アブルッツォのワインはまだあまり知られていません。それはなぜか?
思うに、日本人は訪れた土地の地ワインを楽しみ、帰国してからもその味を懐かしみながらその銘柄を探すからではないでしょうか?またはその銘柄を称賛するレストランや知人から紹介されて味わうのが普通かもしれません。日本にあるイタリアン・レストランのシェフたちが修行として訪れるのはおそらくミラノやローマといった大都市、またはワインの銘柄が多いトスカーナ周辺ではないかと推察します。そうしたら自然とその都市周辺のワインがメインに紹介されることでしょう。
余談ですが、修行で訪れる日本人をこんな小さな町で見かけたという例として、添乗員として訪れたピエモンテ州アルバ郊外、イタリアの最も美しい村々に認定されているネイヴェ(「欧州の風景 リグーリア・アルプス」参照)と、昨年訪問したアマルフィ海岸の小さな町チェターラ(「イタリア美食の旅」参照)です。必ずしも大都市ではなく、イタリア料理を勉強する人にとってはどこも素晴らしい修行の場なのでしょう。
話を戻しますが、毎年どれだけの日本人がアブルッツォ州を訪問しているか、その数はわかりません。けれども旅行していて気づいたことは、アブルッツォ州滞在中は、ほぼ日本人に出会うことがなかったことです。訪れた土地の味を懐かしむワインの楽しみ方があるとすれば、まだまだ日本ではアブルッツォのワインがポビュラーではないということだと思います。
コスパが良いアブルッツォのワイン代表銘柄一覧
ところがこのワインは、世界中ではわりとポピュラーなワインとして楽しまれています。その理由はコストパフォーマンスの良さ。昨年の出張後、日本でアブルッツォのワインを再び味わいたくてあれこれ探してみると、意外と簡単に手に入れられることがわかりましたが、どのワインもとてもリーズナブルなものばかりです。例えば近所のスーパーで購入したモンテプルチアーノ・ダブルッツォは1,000円を切る安さ。それでいてワイン本来のフルーティな味わいと肉料理にも合う適度な重さを併せ持つ素晴らしいワインです。
アブルッツォを代表する銘柄は以下の通り。
- モンテプルチアーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラマーネ
(Montepulciano d’Abruzzo Colline Teramane、赤、DOCG)
モンテプルチアーノ・ダブルッツォの中で唯一品質を認められてDOCGに昇格した、テラーモ県コッリーネ・テラマーのワイン。 - モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
(Montepulciano d’Abruzzo、赤、DOC)
アブルッツォのほぼ全土で生産される、州を代表するワイン。コストパフォーマンスの良さで定評があるワインは、このDOCのモンテプルチアーノ・ダブルッツォです。 - トレッピアーノ・ダブルッツォ
(Trebbiano d’Abruzzo、白、DOC)
モンテプルチアーノ・ダブルッツォ同様アブルッツォ全土で産出される、辛口の白ワイン。 - ペコリーノ
(Pecorino、白、DOC)
アブルッツォの土着品種ペコリーノで作る白ワイン。古代ローマ時代以前に、羊飼いが葡萄の苗を売り歩いたことから広まった品種で、白というよりは黄金の色合いを持ち、すっきりとしていながら独特の豊潤さを持っています。
ワインを味わったらその産地へ
ランチアーノのレストランにて
どこを訪問しても、その土地土地のワインの味はとても素晴らしいと感じます。それは食事とワインは切っても切れない関係を保ちながら双方発展してきたからでしょう。その地のワインに合うようにその地独特の料理が出来上がり、また料理に合わせてワインの品種も改良されてきたのだと思います。だからこそ日本で味わうだけではなく、そのワインの産地を訪れることに意味があるのです。
視察の際訪れたスルモーナのお祭りで、ペコペコのカップに注がれて水のようにふるまわれていた、あるいはホテルのレストラン始めどのレストランでも味わったモンテプルチアーノ・ダブルッツォは、頼んだどの料理にも素晴らしくマッチしました。またランチアーノで偶然入ったレストランで味わったペコリーノ・テッレ・ディ・キエティは、アドリア海に面したキエティ及びペスカーラ県で獲れる魚料理になくてはならないワインと感じたほどです。
帰国して味わうそれぞれのワインもいいのですが、やはりその地の気候、空気、料理、それらがワインの味をより引き立てるのだと思います。
まずは気軽に近所のスーパーや酒屋さんでアブルッツォのワインを購入して飲んでみて下さい。そして美味しいと思ったら是非アブルッツォへ。
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