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はじめに…
パッケージ旅行は、パンフレットやウェブサイトに列挙されたツアー一覧から気に入ったツアーを選んで申し込めばあとは出発するだけで、とても便利なことは誰もが知っていることだ。しかし、あなたが今まで利用したパッケージ旅行は果たして自分の思った通りの旅行だっただろうか?
もしかしたら、どこか妥協しても「安かったから」、「手続きが簡単だったから」という、自分にとって有益な、妥協点に勝る点を優先したのではないだろうか?もしくは行きたい所や望んでいた内容が含まれていたから、そうではない所やサービスが入っていたとしても、自分の欲しいものだけを選んで個別に手配するよりはよっぽど安いのだろうと解釈してパッケージツアーを選んでいるのではないだろうか?
もしこれからもこの有益性を最優先してパッケージ旅行を利用するつもりの人は、おそらくこのページを読む必要はないだろう。それがその人にとっての旅行のあり方なのだから。そうではなく、「これこそ自分が行きたかった旅だ!」と納得できる旅行を見つけたい人は、これから書くこの記事を読んでほしい。
(注)フライトが提供する旅行は海外のみなので、この記事は国内旅行には当てはまらない。また、パッケージ旅行全てを否定するものではないので、ご了承頂きたい。
オーダーメイドの旅行を提案し始めた経緯
実は旅行の仕事に携わって少し経った頃から、旅行者のニーズと旅行会社が提供する旅行とのギャップを感じはじめてきた。
「お勧めしたこの旅行は果たしてこの人が本当に満足するものだろうか?」
パッケージツアーばかりを販売していたころよく思ったことだ。
安くなったとはいえ、海外旅行は普段の生活の中で使うものと比較すれば高い買い物だ。だから値段や便利さだけで妥協して申し込むのではなく、旅の目的やしたいこと・行きたいところはこだわるべきだと思う。実際自分自身がプライベートで旅行するときは、したいことや目的地について詳しく調べ、余計なものには費用をかけずにその分現地で使う費用に回すようにし、自分の思う通りの旅行をしようとしている。
パッケージツアーが悪いものと述べているのではない。
旅行会社も利益を追求する一企業だ。大多数の人が必要と思う要素を含めつつ、全体的にはとてもリーズナブルながらしっかりと利益を確保しているパッケージツアー造成は、むしろ同業者として見習うべきと思う。
しかし、こうして作られたパッケージツアーは大多数の人のために必要なものがそろっていても、自分にとって必要なものが含まれておらず、反対に不必要なものが含まれていることがある。余計なものが含まれているのに、高い買い物である旅行にぱっとお金を支払ってしまってよいのだろうか?大げさに言えば旅行者は余計なものまで購入させられているという不利益を被っていることになる。
こういったパッケージ旅行のあり方に疑問を持ち、フライトを開業してからはオーダーメイドの旅行を優先して提案し続けてきた。
オーダーメイドの旅行の定義
オーダーメイドの旅行は余計なものを入れることなく必要なものだけを選んで組み立てる旅行だ。例えば
- どうしても泊まりたいホテルにこだわる
- 一度は見てみたい観光地やイベントのためには多少高くなっても費用をかける
- こだわりに費用をかける分、簡素化できるところ(自分で市内を散策すればガイドが案内する市内観光ツアーなど不要の場合がある)は簡素化する
といったことだ。
一般的にオーダーメイドのものは割高というイメージがある。
パッケージツアーはボリュームインセンティブという、大量発注によって原価を下げることでリーズナブルな料金を提案できる。一方オーダーメイドの旅行は顧客の要望に合わせてひとつひとつ手作りで提案する旅行だから、ボリュームインセンティブという利点はない。
しかしオーダーメイドの旅行は必ずパッケージツアーより高いというわけではない。同じ条件の旅行を見積もった場合、ボリュームインセンティブという大きなハンデがありながらもオーダーメイドの旅行のほうが安くなるという場合だってある。
それはなぜか?理由はいくつかある。
理由-1 オープンプライス
少し前までは航空座席を仕入れて販売代理店に卸販売をするホールセラーから航空券を仕入れていた。その航空券はIT運賃といって本来は団体向けの特別運賃を小分けして販売するもので、一般消費者が購入できるものではない。この一般には知られることのない航空運賃にホテルや観光、移動手段を付加してツアーを造成し、旅行費用は1人当たりいくらというトータル金額のみ提示する。これがパッケージツアーである。
IT運賃は特別運賃だから、航空会社のカウンターで購入する航空券よりはるかに割安だった。しかし、2000年ころから航空会社は自らIT運賃と同等レベルのリーズナブルな航空券を、直接消費者に販売し始めた。いわゆるPEX運賃だ。これは今まで航空会社のために莫大な座席を販売することに貢献してきた旅行会社をないがしろにした。なにしろ旅行会社が仕入れる卸金額と同等レベル、場合によってはおろし金額よりも安価なの運賃を、代理店である旅行会社を飛び越えて直接消費者に提供するのだから。これがパッケージツアーを販売しにくくした要因の一つだ。
一方、当社が案内するオーダーメイド旅行の利点の一つにオープンプライスがある。各旅行要素(航空券、宿泊代など)の明細と旅行会社の手数料を個別に表示する旅行費用の提示のしかただ。IT運賃を使用したパッケージツアーは上述の通り旅行費用に含まれる各要素のうち何が割高で、何がリーズナブルかわからない。しかしオープンプライスの旅行費用はそれぞれの費用がいくらで、最後に旅行会社の手数料がいくらという明確な提示方法である。
旅行会社の利益である手数料まで明示するのだから、旅行費用に含む航空券は航空会社が直接販売し始めたPEX運賃だろうと卸金額のIT運賃だろうと隠す必要はない。旅行者にとって有益なものを旅行の要素に含め、最後に手配手数料という形で自分たちの利益を得る。
オープンプライスの旅行費用提示によって、今まで訳が分からなかった旅行費用の仕組みが旅行者にも理解しやすく、かつリーズナブルであることがわかるようになり、どのようにすれば旅行費用を抑えることが出来るかわかりやすくなった。
理由-2 手配開始時期
当社ウェブサイトの「オーダーメイド・スタンダード」でオーダーメイド旅行の基本について説明しており、手配開始時期について記載しているのであわせて読んで欲しい。
昨今は早くに旅行手配を開始すればするほど割安になる傾向がある。
それは上述の航空会社が提供するPEX運賃がおおいに関係する。航空会社は航空券を早く購入すればするほど割安にするという早割運賃を導入した。以前は間際のキャンセルによる座席穴埋めのためのラストミニッツ(キャンセル待ち料金ともいわれた時期があった)がリーズナブルと言われたが、今は完全に逆の発想で、早くに買ってもらうのだから安く提供しようという考えだ。
次に、現在どの航空会社にもキャンセル待ちという概念はほぼない。それはひとつのクラスを運賃によって複数の予約クラスに分け、最も安価な予約クラスが満席になったら次に安価な予約クラスの席を販売する、という繰り返しだからだ。上記の早割運賃はこの最も安価な予約クラスのひとつである。
例えばエールフランスの羽田~パリ間にはエコノミークラスだけで15の予約クラスが設定されている。このうちいくつかは団体向けで個人旅行者が予約できないクラス、上述のIT運賃のクラス、そのほか特別な人(ハンディキャップ、航空会社によっては退役軍人向けなど)のためのクラスなどで、これらとノーマル運賃を除くとPEX運賃にあたるものは10ほどだ。ちなみに実際に搭乗後に座る座席は皆エコノミークラスで一緒である。
航空会社の希望は飛行機を常に満席で飛ばしたいということ。最も運賃が安い予約クラスばかりにキャンセル待ちが集中してしまってしまってはいつまでたったも座席は満席にならないし、売り上げも上がらない。だから最も安価な予約クラスが満席になったらキャンセル待ちを受けることなく次に安価な予約クラスを案内し、そこが満席になればその次に安価な予約クラスを販売していく。安価な予約クラスほど設定席数は少なく、早くから満席になる。
最も安価な予約クラスで予約するためには、少なくとも半年前に航空券を購入するのが理想だ。そうすれば場合によっては旅行会社しか購入できない卸金額のIT運賃よりも安価な場合がある。
まとめ
旅行費用の大半は航空運賃で決まる。その運賃を抑えることが出来ればパッケージツアーと同等、場合によっては安価に旅行費用を設定できる理由がわかっていただけるだろうか?そして航空運賃を抑えることが出来た分、自分の希望を大いに旅行に盛り込んで思い通りの旅行が出来るということだ。
<次回は「思った通りのオーダーメイド旅行をするには具体的にどうすべきか」を書く予定>
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