筆者自身が添乗員として実際に訪れた、フランスの美しい村を紹介する第9回目は、フランスの美しい村々に登録されていると同時に、サント=マドレーヌ大聖堂と村そのものの丘が、「ヴェズレーの教会と丘」として世界遺産にも登録されている、ヨンヌ県のヴェズレーだ。
美しい村の中では、比較的村の規模が大きく、グループから個人まで宿泊可能なホテルも充実しているので、じっくり滞在するのが良い村だ。
ヴェズレー滞在にぴったりのホテル
ヴェズレーには、ブルゴーニュをめぐるスケッチツアーで2度訪れている。いずれも、ヨンヌ県にある小さな美しい村めぐりの拠点として3泊した。
ヴェズレーは、麓から丘の頂上のサント=マドレーヌ大聖堂まで1本の登り坂の道が通り、その両脇に細い路地が広がっている。
地図で見ると、その町並みは細長い洋ナシのような形で、麓がちょうど洋ナシのヘタの部分だ。
そして、そのヘタの部分、Place du Champ de Foireに面して建つのが、その2回の滞在時に利用したHotel de la Poste et du Lion D’or(3つ星)である。
初めて訪れた時は、曇天の夕暮れで見晴らしも悪かったが、チェックインの後、部屋に入ってまず最初に行ったのが、窓からの景色を確かめること。
添乗員用の部屋だから、ほぼ屋根裏部屋ではあるが、最上階にあった部屋の窓から、ヴェズレーの丘が一望できる最高の部屋だった。
もちろん、ツアー参加者の部屋も、同様にすべて眺めの良い部屋であることは当たり前、つまり全ての部屋からヴェズレーの丘を眺められるのだ。
これは、スケッチをする参加者にとって、とても重要なポイントである。
初めて訪れた年は、毎日雨続きで、なかなか旧市街の路地などへ出かけてスケッチをすることが出来なかった。
そのかわり、部屋にいながら一望できるヴェズレーの町並みを、スケッチすることが出来たのである。
自分の部屋の中だから、トイレの場所を気にする必要もなく、水彩で色付けをする際水を用意することに苦慮することもない。
まして、急な雨で画用紙やスケッチブックが濡れる心配もない。
このホテルの便利さは、スケッチツアーだけにとどまらず、観光で訪れても利用価値は高い。
村は単純な構造なので迷うことはほぼないが、万が一迷ったら、丘を降り切ればホテルは目の前だ。どんな人でも迷うことはない。
そして、歴史ある建物とこの界隈で有名なレストランが、スタンダードの3つ星のこのホテルを風格あるホテルにしている。
2度目に訪れた時、ツアー参加者はこのホテルに宿泊したが、添乗員である筆者だけすぐ近くの2つ星ホテル、La Compostelleに分宿となった。
La Posteのほうが満室のため、添乗員分の部屋が用意できなかったという。
こちらも、場所の利便性は十分なので、予算によってLa Posteか、La Compostelleを選べばよいと思う。
霧のヴェズレー
最初に訪れた時は5月で、その時は毎日雨続きだった。次は、その翌年の10月に訪れた。
スケッチツアーの場合、到着した翌日の終日自由スケッチの日の午前中に、村全体のロケハンをする。
その時、おのおの自分が書きたいスケッチポイントを決め、解散後は自由にスケッチを行う。
しかし、ロケハンを始めた朝は非常に濃い霧で、ちょっと先は一面真っ白といった状態だった。
だが、ほどなくして霧が晴れ、その後は快晴の毎日だった。
ホテルスタッフに聞くと、ヴェズレーの秋の天気は、いつもこのように濃霧と快晴が続き、ヴェズレーは霧の村として知られているらしい。
最初の訪問が雨続きだったので、霧が晴れてからの快晴の中、前年の撮影不足を補うかのように、様々な場所からヴェズレーを撮った。
この村もブルゴーニュにあり、周囲は葡萄畑が広がる。その葡萄畑から眺めるヴェズレーの全景は、村の中を歩いていたら見ることが出来ない。
美しい村は、離れて見ることが必要なのだ。
そして霧が晴れ、秋の陽を一面に受けるサント=マドレーヌ大聖堂は、巡礼路の出発点にふさわしく、神々しいほどに黄金に輝いていた。
宿泊するからわかるヴェズレーの魅力
最初に訪れた時は、まだ日本で「ヴェズレー」という名前は知られておらず、日本からの観光客を見かけることはほとんどなかった。
今はパリ発着のオプショナルツアーが催行されていたり、各社がツアーを企画して訪れている。
だが、日帰りで訪れるにはもったいない村なので、少なくとも1泊してじっくりと歩いてみてほしい。
どの村もそうだが、朝と夕では全く違う顔を見せる。陽の光やこのヴェズレーの霧のように、たった何時間かの滞在ではわからないことが、山ほどあるからだ。
そして、その村ならではのレストランで食事をすることは、とても重要だ。
2回目の滞在の時は、毎晩ホテルのレストランだったが、最初に訪れた時は、初日以外は村の中のレストランでの夕食だった。
それは、Auberge La CoquilleとSaint Etienneだ。
どちらも目抜き通りにあり、アットホームでありながら、ブルゴーニュ料理をリーズナブルに提供してくれる。
残念ながら、メニューなど資料は残っていなかったので、ホテルで食べたもの以外どんなものを食べたのか思い出せないが、ひとつ強烈に記憶に残っていることがある。
それは夕食後、そのレストランを出てホテルまでの一本道を下りながら歩いたときのこと。
5月はすでにサマータイムなので、食事が終わった夜9時過ぎでも、まだ空は夕暮れ程度だった。
上空はすっかり夜空なのに、遠くに見える山の上の空はまだ暮れかかったオレンジで、そのコントラストがとてもきれいだったこと。
こんなことは、日帰りでは体験できないことだ。
ヴェズレーへの行き方
当社ウェブサイトで、ブルゴーニュをめぐる個人旅行プランを掲載しているので参考に。
セルミゼル駅からヴェズレーまでは、シャトルバスが運行している。
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