筆者自身が添乗員として実際に訪れた、美しい村を紹介する第11回目は、ウンブリア州ペルージャ県のスペッロだ。
宿泊していたアッシジからわずか14㎞、出発したと思ったらすぐに到着した。
駅が近く、鉄道でも訪れやすい村である。
小高い山に沿って南北1㎞ほどに広がるスペッロの人口は約8千人、もはや村というよりは町である。
古代ローマ時代の名残が、そこかしこに見られるこの町は、通称「小路の町」と呼ばれている。
アッシジ滞在中から快晴に恵まれたが、スペッロに到着した時は秋が深まり、かつ風が強かったためだいぶ寒く感じられた。
スペッロの遠景
参加者は、一通りスケッチのロケハンをしたのち描き始めたので、例のごとく暇になった添乗員は、町中の探索を始める。
イタリアは、小高い丘や山の尾根に沿って町や村が造られていることが多く、ここスペッロも例外ではない。
その姿はフランスの鷲の巣村と近く、遠くから全体を眺めるのが美しい。
スペッロの遠景をカメラに収めようと、コンソラーレ門を出て左に進み、葡萄畑が広がる一帯から振り返ってみてみた。
ところが近すぎるのか、小高い山が町に覆われた姿を見ることが出来ない。
離れて見たりしてみたが、無理のようだ。
「イタリアの最も美しい村々」のウェブサイトに掲載されているような写真を期待したのだが、おそらく空撮だろう。
あきらめて再び町の中に入る。
コンソラーレ門を過ぎると、一本の緩やかな坂道が続く。
すぐにサンタ・マリア・マッジョーレ教会が右手に見える。ここの礼拝堂は14世紀、バリーニ家がピントゥリッキオに描かせた豪華なフレスコ画がある。
そのすぐ隣には、サンタンドレア教会。その奥に町の中心、レプッブリカ広場があるのだが、そこはあとで昼食の時にでも行ってみよう。
すぐに、左に入る小路を進む。
ローマ時代の名残
ここから一番北にある14世紀建造のヴァッレグロリア修道院までの小路が、いわゆるローマ時代の名残が見られるところだ。
強風で雲一つない快晴だが、その分日陰の暗さが目立つ小路を進むと、アッシジ方面の広大なパノラマが広がる。
そして、最初に見えてきたのはヴェーネレ門。アウグストゥス帝時代の堂々とした建造物なのだが、残念ながら修復中の無様な様相だ。
そこからしばらくして見えてきたのは、古代ローマのアクロポリスへの入場門、通称アウグストゥスの凱旋門といわれる。
そして、同じ場所に見えたサン・セヴェリーノ教区教会。後陣にある古い教区教会のロマネスク様式のファサードは、修復を終えたばかりで真新しかった。
小路の町スペッロ
再び、町中に戻る道を辿る。
石造りの家並みは、トスカーナの特徴が良く出ている。
途中で小さな雑貨屋を見つけた。布地で作った唐辛子の小物は魔除けだろうか。
そういえば、スペッロの家々の玄関には、小さなほうきに装飾し、日本でいうところの正月飾りのようなものをつけていた。
帰国後これがどういう意味なのか調べてみているが、いまだにわからない。もし知っている人がいたら、教えて頂きたい。
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