どのトーナメントにおいても、テニス観戦チケットはかなり高額です。
とりわけ高額なのはウィンブルドン。
当社販売のチケットについても、男子ファイナルの観戦チケットは約8000ポンドから。日本円に換算すると軽く100万円を超えています。
どうして、テニス観戦チケットはこんなにも高額なのでしょうか?
その理由を、ウィンブルドンを例にご案内します。
様々な経費が上乗せされている
その他のトーナメントも、大なり小なり理由は同じかと思いますが、ウィンブルドンの観戦チケットはディベンチャーチケット(債権者用チケット)といわれています。会場施設の保持・改築などにかかる費用のために債券を発行され、その債券は株と同様に売買されます。
例えば、2015年時点のセンターコートの設備投資に充てられた費用の債権額は5万ポンド(当時のレートで約960万円)、この債券購入者1人につき、大会中毎日1枚のチケットが提供され、そのチケットは公式に転売が認められています。
このチケットが、世界中に売り出されているのです。
ディベンチャーチケットは、公式エージェントを通して世界中に販売されます。上述の通り、公式に転売が認められているので、それぞれのマーケットで手数料が加算されて販売されるため、だんだんと高額になるのです。
2019年は、No.1コートに開閉式屋根が増設されました。2019年の観戦チケット代が思いのほか高額なのも、そのための債券分が、チケット額に反映しているからなのでしょう。
また、日本では券面額での販売が当たり前ですが、スポーツ観戦をはじめとしたイベントチケット料金は、海外ではそのプレミア度により価格が上下します。人気の高い観戦日は高額に、そうでない日はそれなりの料金に変動します。
近年、テニス観戦はフェデラーとナダルの人気が続いているため、どのトーナメントにおいても、男子準々決勝以降の観戦チケットは、入手困難なだけではなく高額です。
高額の原因は日本人!?
ATPマスターズやWTAツアーと比べても、またその他のグランドスラムと比べても、ウィンブルドンの観戦チケット価格は高額です。
テニスの聖地、また全テニスプレーヤーの憧れのコートであるセンターコートであることは、上述のプレミアによる価格変動の理由のひとつですが、それだけではありません。
ウィンブルドンの観戦チケット価格を釣り上げたのは、バブル景気を背景とした日本人といわれています。
ウィンブルドンを主催するAELTCが、初めて海外マーケティングを行ったのが日本でした。
関連グッズの販売によって収入を得るという、広告とは違ったマーケティングの対象として、ブランド好きの日本人がターゲットとなったのです。そのもくろみはヒットし、日本人が大挙してウィンブルドンを観戦にロンドンを訪れました。
そして、時代はバブルへ突入。「テニスの聖地で観戦できるなら」と考えた多くの日本人が、プレミアのついた観戦チケットをいくらでもいいから購入しようとしたのです。
その後、日本のバブル景気は終わりましたが、このプレミア価格は下がることなく現在まで続いています。
現在、それを引き継いでいるのは、おそらくチャイナマネーでしょう。筆者が訪れた時も、日本人に代わるアジアからの観戦者は、ほとんど中国の人達でした。
テニス観戦はエクスクルーシブな体験
スポーツイベントは「限られた席数にかかるプレミア」が、チケット価格に反映されています。
ウィンブルドンのセンターコートは、全世界のテニスプレーヤー、テニスファンの憧れの聖地であるにもかかわらず、わずか15,000席程度しかキャパシティがありません。
でも、誰もがセンターコートで観戦したいのです。
そうなると当然、限られた席のチケットをなんとか入手しようとします。限られた席のプレミアチケットを入手することが、まるでステイタスであるかのように売買されます。
話は変わりますが、以前アメリカンフットボールのファイナル、スーパーボウルの観戦パッケージ販売に携わったことがありました。
まだ日本ではなじみのない頃でしたので、あまり売れませんでしたが、当時聞いた話では、アメリカではこの観戦チケットを入手するために、高級車やヨットを売ってでも入手しようとする人が多数いたと聞きました。
限られた席数で、しかもたった2週間しか開催されないウィンブルドンは、まさにエクスクルーシブな体験です。
スーパーボウル同様、この体験をするためにいくらでも払うという人は、世界中にたくさんいることでしょう。
そして、それだけ支払っても、他には代えられない体験が出来るのがウィンブルドンをはじめとした、世界最高峰のスポーツイベントです。だからダンピングされることなく高額のまま、チケットが販売されるのです。
テニスの観戦チケットは高い、と感じている人は多いと思いますが、高額なものばかりではありません。
トーナメントにより、またコートや日にちによって価格はリーズナブルなものから用意しています。観戦希望トーナメントの各料金、詳細は以下からご覧ください。
コメント
いま大坂の予選だが、観客はガラガラである。ロンドンまで行ってから現地で買ったとしても、それでもチケット30〜40万円するのですか?こんなにガラガラなのに?
田中アクオ様、
コメント有難うございます。お返事が遅れ、申し訳ございません。
国内のことはよく分かりかねますが、テニスチケットが高額なのは、国内ではなく海外です。
近年は円安により、日本での購入においてはより高額になっています。
この記事に書いたのは発端であり、現在は海外市場が全体的に高額になっています。