サイクリングが盛んなヨーロッパには、ユーロヴェロ(EuroVelo)という全欧自転車道路網があります。
自動車との並走がほとんどない、サイクリングのための道路網は、日本の都市部のようなせせこましい道路とは大違い。
当社がご案内するヨーロッパ・サイクリング・ツアーの各コースも、ユーロヴェロに沿ったルート作りになっているので、ユーロヴェロを知ることは、よりヨーロッパでのサイクリングを楽しむことができるということです。
全コース制覇といった壮大な目標ではなく、もっと気軽にヨーロッパでのサイクリングを楽しむため、ユーロヴェロについて少しご案内します。
ユーロヴェロ(EuroVelo)について
ユーロヴェロは、ヨーロッパ自転車連盟が推奨する自転車道路網。
全長約90,000キロ、現在17のルートで構成され、北はノルウェー・北極圏のバレンツ海から南はマルタ・ヴァレッタまで、東はロシア・モスクワから西はポルトガル・リスボンまで、まさにヨーロッパ全土を網羅したサイクリング・ロードです。
長距離ツーリングのために設定されたものですが、各国の短距離サイクリングでも利用されています。どこから走り始め、どこでルートから出てもよしの、サイクリストのための自転車網です。
ユーロヴェロの認定条件
ウィキペディアに書かれている、ユーロヴェロに認定されるための条件は、
- 傾斜が6%以内であること
- 2台以上の自転車が併走出来る幅があること
- 平均一日1000台以上の自動二輪の通行がないこと
- 距離で80%は舗装されていること
- 年間毎日通行可能で、30kmごとにサービス設備、50kmごとに宿泊設備、150kmごとに公共交通へのアクセスがあること
ですが、これ以外にもさまざまな条件があり、
- 1日1区間、少なくとも1つの重要な文化的または自然的魅力があること
- 騒音、粉塵、臭気、その他の環境汚染にサイクリストがさらされることが、1日の区間の25%以下であること
- 1日の区間のうち、ルートのメインテーマまたはサブテーマに関連したアトラクションが少なくとも1つあること
- 1日の区間のうち、50%以上単調な周辺環境を通らないこと
- 都市部における犯罪の恐怖や、動物による危険な状況など、社会的安全性に関わる問題がないこと
などなど。特に、環境問題に敏感なヨーロッパならではの条件がありますね。
認定条件は全てを満たす必要はないようですが、唯一EuroVelo 15 Rhine Cycle Routeは、必要な条件を全て満たす唯一のルートとされています。また、全ルートの中で、最も人気があるルートとしても知られています。
その他詳細は、European Certification Standardに掲載しています。
ユーロヴェロのルート番号について
ユーロヴェロ公式サイトのトップページに掲載しているすべてのルート(1〜19)は、番号順になっているのですが、なぜかルート16と18がありません。
ユーロヴェロのルート設定は、ヨーロッパを南北軸で横断するか、東西軸で横断するかに基づいて番号づけられています。現時点で、南北ルートは10本(奇数番号の1〜19)、東西ルートは7本(偶数番号の2〜14)となっています。
今後、もし東西ルートが新たに認定されれば、ルート16や18が誕生するでしょう。
ユーロヴェロより短いサイクル・パス
ユーロヴェロは、各ルートとも長距離ツーリングができる長さですが、もう少し短いサイクリングロード、1〜2カ国間を通る部分的な自転車道がサイクル・パスです。
ほとんどのサイクル・パスは、ユーロヴェロの一部分を指し、各国の観光要素とあわせて案内されています。
例えば、イタリア北部のアディジェ・サイクル・パスは、北極圏から地中海のマルタ共和国まで続く、約7700キロのEuroVelo 7 – Sun Routeの一部分、さらに2000年前に軍事目的で建設された歴史的なローマ街道・クラウディア・アウグスタ通りの一部分を指します。
アディジェ・サイクル・パスは、イタリア・トレンティーノ=アルト・アディジェ州のヴァル ヴェノスタからメラーノ、ボルツァーノ、ライヴェス、オーラ、エーニャ、サロルノを経由し、ヴェローナからガルダ湖を経て海に至るアディジェ川沿いを走る、全長約300キロのサイクリング・ルートです。
ガルダ湖といえば、つい先日終了したばかりの2023年ジロ・デ・イタリア、第16ステージに採用されたルート。プロのロードレースは、厳しいガルダ湖の西側を通りましたが、アディジェ・サイクル・パスは東側の緩やかな山間部のルートを走ります。
ユーロヴェロの認定条件はもちろんのこと、アディジェ・サイクル・パスのルート上には、見どころも満載です。
イタリアの避暑リゾートのボルツァーノや、ロミオとジュリエットの舞台となったヴェローナから水の都ヴェネチアまでは、このルートの最も美しいステージです。
また、水没した教会の尖塔が湖から突き出ているレジア湖、北イタリアで最も美しい湖のガルダ湖など、水と緑が美しいイタリア北部の魅力を通ります。
サイクル・パスは、ユーロヴェロ同様どんな人もサイクリングを楽しめるようなルートです。
当社がご案内するサイクリング・ツアーでは、21のサイクル・パスに沿ったツアー展開をしていますので、このツアーで気軽にサイクリングをしながらの旅を楽しむことができます。
日本から自転車を持っていく必要はありません。このツアーのために用意された、レンタル・バイクのオプションを用意しています。
訪れなければわからないユーロヴェロの魅力
ユーロヴェロも、その一部分であるサイクル・パスも、ウェブサイトではその魅力を実感することはできません。
どんな旅行も、訪れなければわからない魅力があります。
その土地土地の光や風や匂いを、五感で感じて体験することが、旅の醍醐味です。
日本ではまだまだ追いつけない、ヨーロッパの整備されたサイクリングロードを走ってみたいと思ったら、以下をご覧いただき、お問い合わせください。
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