続・無料で電子帳簿保存法への対応 – メール・請求書・領収書まとめてPDFで保存

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前回、「電子帳簿保存法への対応は無料でできる」ことをまとめてみました。

今回はより具体的に、そしてどう保存していけば良いのかについて調べました。

それはとても簡単なこと、つまり「全ての書類はPDFに変換して保存」しておけばOKです。

さらに、長期保存に適切な「PDF/Aフォーマット」についても調べています。

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取引に関するメール・請求書・領収書はPDFで保存が大原則

前回は、やや堅苦しい説明ばかりになってしまっているので、簡単におさらいしましょう。

とは言っても、筆者は税理士でも会計士でもなく、一介の小規模企業の経営者です。できるだけ経費をかけることなく、自分たちでできることは自分たちで、という考えのもと、この電子帳簿保存法対応について調べてきました。

それを大前提として、読んでいただければ幸いです。また、前回記事もあわせて読んでいただくとわかりやすいかと思います。

さて、電子帳簿保存法のキモは、

全ての会計書類を「真実性」「可視性」を確保しつつ電子データで保存する

ということに尽きます。

法律が求めているこの2つの要件を満たすため、TVCMや広告で「電帳法対応ソフトを使いましょう」とか、「タイムスタンプは必須」とアピールしていますが、そんなことはありません。

前回記事に書いたような対応で、無料でも十分にこの法律に対応できます。

実際だいぶ要件が緩和され、例えばスキャナ保存は「ちゃんと読めればいい」になり、保存書類の検索要件も、年間売上5000万円以下の事業者は検索要件は不要となりました。
また、タイムスタンプについては事務処理規定を作成・運用することで、真実性の確保に対処できることになっています。

そう考えると、だいぶ対応しやすくなったのではないでしょうか?

PDFで作成した書類は全てGoogleドライブに保存

とはいえ、今まで全て紙で対応していた「国税関係帳簿」「国税関係書類」「電子取引」書類を、すべて電子データ化することはなかなか大変な作業です。

では、具体的にどう対応していけば良いか?

答えは

取引に関するメール・請求書・領収書はPDFで保存

することです。

今まで通り、紙で受け取った書類はそのまま紙で保存することができるので、スキャナ保存はいったん置いておきましょう。

電子データで受け取った請求書や領収書、取引内容が記載されているメールをすべてPDFにして、まとめてGoogleドライブに保存すれば良いのです。

大事なのは、PDFファイル名を、

受領日_取引先名_金額.pdf

という形にしておくことです。これで、Googleドライブ内での検索もしやすくなります。さらに、「請求書」「領収書」などの区別もつけておけば、より検索しやすいでしょう。

また、仕訳帳や勘定元帳といった国税関係帳簿や、決算書類などの国税関係書類は、クラウド上で運用できる「円簿会計」などを利用して、PDFに変換することができます。確定申告書は、紙で作成すれば保存する必要はありません。

これらもまとめて、Googleドライブに放り込んじゃいましょう。

筆者の場合、Googleドライブ内で年度ごとのフォルダーを作成し、さらには決算書類、取引書類(請求書・領収書など)、帳簿類というようにさらに細かくフォルダー分けをしています。

当社では、2022年度からGoogleドライブに各書類を保存していますが、当社のような小規模企業の書類など、容量はたかが知れています。無料の容量は15GBまでですが、まだ1%にも達していません。これなら、20年は無料のまま、Googleドライブに保存できるでしょう。

会社の規模によっては、そうはいかないかも知れません。その時は無料とはいきませんが、月額たった250円の経費で100GB、380円で200GBまで容量をアップできます。

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PDF変換の具体的方法

では、具体的にGoogleドライブへ会計書類を放り込むために、どうやってPDFフォーマットにすれば良いでしょうか?

それは特別なことではありません。普段使っているアプリケーション(ソフトウェア)で、十分対応が可能です。

現在はほとんどのアプリケーションで、さまざまなフォーマットへの変換が可能です。

例えば、ほとんどの企業が使っているWordは、作成した文章やテーブルを保存し、その後「エクスポート」→「PDF/XPFドキュメントの作成」で、簡単にPDFファイルが完成します。Excelは、保存の際フォーマットを選べますので、そこでPDFを選ぶだけです。

このように、オフィスソフトで作成した請求書や会計書類などは、簡単にPDFへ変換できるということです。

メールに添付して送られてきた、あるいはネット上でのドキュメント転送サービスなどで送られてきた請求書や領収書は、おそらくほとんどがPDFでしょう。その場合、そのままGoogleドライブに保存すれば良いわけです。

ですが、メールの文章に取引内容(金額、日付、支払い先、項目など)が記載された、簡易請求書的なメールはどうでしょう?

よく使われている(と思われる)オフィスソフトに含まれるOutlookでは、「メッセージを印刷する」を選び、プリンターで「Microsoft PDF印刷」を選べば、PDFとして保存ができます。

マイクロソフトのオフィスソフト以外の場合、例えば、Thunderbirdではメッセージの「プリント」を選び、プリンターで「PDFに保存」があります。

GoogleのGmailも同じです。メッセージを表示したら、プリンターアイコンをクリックし、あとはプリンターの種類で「PDFに保存」を選ぶだけです。

普段使っているソフトウェアでこのようにPDFへ変換できるのですから、電子帳簿保存法で必要な会計書類をPDF変換することは、さほど労力を必要としません。そして、今から新しいアプリケーションや機器を用意することなく、すぐに対応できます。

長期保存の国際標準規格「PDF/A」について

電子帳簿保存法では、法人で7年(最長10年)、個人事業主で5年(最長7年)文書を保存しておくことが定められています。しかし、この期間を過ぎたら捨てても良い、というわけではなく、企業としてはより長期に保存しておくのが常でしょう。

さらに、全ての書類をPDFに変換したから大丈夫というわけでもありません。

「PDFだから誰でも同じように読むことができる」と思っていても、実は読む側の環境(パソコン)によっては、文字化けしたり、ところどころ文字が抜けている場合があるのです。

これは、主にパソコンで読むことができるフォントの違いによります。

現在一般的だと思っているフォントでも、10年後、20年後には、違ったフォントが主流になり、現在のフォントが読み込めないということがないとは限りません。

このようなことを防ぐため、国際標準化機構(ISO)が定めた、文書の長期保存のための規格が「PDF/A(Archive)」で、ISO-19005と同義語です。具体的には、

  • 電子文書の見かけを、作成・蓄積・可視化ツールから独立にし、時間が経過しても維持できる。
  • 電子文書の文脈と履歴をメタデータ(PDFのタイトルや作成者、履歴などのデータ)として記録するフレームワークを提供する。
  • 電子文書の論理的な構造(タグ、読み上げに対応できるようHTMLでのタグの役目)と意味に関する情報を記録するフレームワークを提供する。

(Wikipediaより)

を目指しています。

そして、PDF/Aは、フォントの埋め込み化や可読性を妨げる暗号化の禁止、外部コンテンツの利用禁止など、長期保存で支障が起きにくいようになっています。

この規格、現在はPDF/A−1からPDF/A-4まで4種類があり、いずれの規格も環境に左右されずに正しく表示できます。

これは必須ではありませんが、電子帳簿保存法で定められた会計書類は、なるべく長期保存に対応できるようPDF/A規格で保存しておくことが望ましいでしょう。

規格の種類(PDF/A−1からPDF/A-4)については、さほどこだわる必要はなく、PDF/A規格で保存することを覚えておきましょう。

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PDFからPDF/Aへの変換方法

PDFからPDF/Aへ変換するには

アプリケーション(ソフトウェア)からPDF/A規格で保存することは、そんなに難しいことではありません。

一例として、Word文書をPDF保存する際の方法を案内します。

  1. 文書を作成・保存したら、「エクスポート」→「PDF/XPFドキュメントの作成」を選びます。
  2. 保存先・ファイル名を指定したら、「オプション」を選びます。
  3. 「PDFのオプション」で「ISO 19005-1 に準拠(PDF/A)(1)」にチェックを入れ、「OK」をクリックします。

オープンソースソフトウェアのLibreOfficeでも、PDFでエクスポート→「全般」タブのアーカイブ(PDF/A, ISO19005)にチェックして保存します。

このように、自分で作成した文書は、割と簡単にPDF/A規格で保存できます。

しかし、PDFには変換できるものの、PDF/A規格のファイルに変換できないアプリケーションや、すでにあるPDFファイルは、どうすれば良いでしょう?

その場合は、ネット上のPDF/A変換ツールサイトを利用しましょう。

そのようなサイトは多数ありますが、無料の場合変換数に限りがあります。ですが、以下のサイトは無制限で変換可能ですので、ブックマークしておくと良いでしょう。

PDF/Aファイルかどうかを検証するには

一方、取引先から送られてきた請求書や領収書のPDFファイルは、果たしてPDF/A規格のものでしょうか?

有料のAcrobat Proをご利用でしたら、「プリフライトツール」を使って規格を確認することができます。ですが、この記事を読んでいる方のほとんどは、Acrobat Proなど使っていないと思います。その場合は、ネット上の「PDF/A Validator」といったツールを利用しましょう。

検索して出てきた「PDFEN」は英語のサイトですが、PDFファイルをドラッグするだけで、PDF/Aファイルかどうか、また規格の種類も検証してくれます。

また、以下のサイトは、ブラウザのChromeやFirefoxの拡張機能でも提供しているので、ブラウザに組み込んでおけばいつでも利用できます。英語サイトですが、今は翻訳機能も充実しているので、サイト利用にさほど不便は感じないでしょう。

その他にも、「PDF/A 検証」で検索すれば、いろいろヒットします。だだし、無料のPDF/A変換サイトは、検証数に限りがあるのでご注意ください。

この記事のまとめ

電子帳簿保存法は、普段利用しているアプリケーションでPDFファイルに変換してGoogleドライブに保存すれば、十分対応可能です。高価な会計ソフトを新たに導入する必要はありません。

大事なことは、毎日の処理を怠らないこと。会計書類は、まとめてやっつけるなんてことはできません。

電子データで請求書や領収書を受け取ったら、すぐにファイル名を検索しやすい名前に変えて、Googleドライブに保存しておきます。

そして、保存するPDFファイルは、ISO-19005に準拠したPDF/Aにて保存しておくことが望ましいとお考えください。

この判断は、さまざまなウェブ記事を読み解き、自社にて判断したものです。
当社の対応で訂正・異論がある場合は、コメント欄よりご連絡ください。いただいたご意見をもとに、さらにブラッシュアップしてまいりたいと思います。

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